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経営諮問委員の声

MESSAGE

※50音順

伊藤 邦雄 氏
一橋大学名誉教授

私がみさき投資の経営諮問委員長に就任したのは、中神さんを始めとしたメンバーの皆さんが豊かなエンゲージメント投資の経験を積み、 自らの夢と意思を実現する場として会社を立ち上げたためです。

日本でも数は少ないものの、エンゲージメントファンドが生まれてきています。その有力な一つとしてみさき投資があると思っています。 一方で、今あるファンドは外国人によるものが大半です。みさき投資に成功してもらわないと、この国からエンゲージメントファンドがなくなってしまうとすら思います。

また、みさき投資は、エンゲージメントファンドの中でも新しいビジネスモデルだと思っています。それは、ビジネスモデルのアドバイスをし、事業の価値そのものを高めるところにも貢献しようとしているところにあります。新しいビジネスモデルなので、解決しなければならない課題はあると思いますが、だからこその挑戦です。その挑戦をやりきって乗り切って、ようやく革新になります。みさき投資を応援したいと思っています。頑張ってください。

楠木 建 氏
一橋大学大学院特任教授

イノベーションは(技術)進歩ではありません。既存の次元の上を前や先に行くのではなく、次元そのものが変わる。この非連続性にイノベーションの本質があります。進歩が「できるか・できないか」であるのに対して、イノベーションは「思いつくか・つかないか」の問題です。なかなか「思いつかない」。だからこそイノベーションは稀な現象なのです。

しかし、だからといって新奇で突飛なことをやろうとしても、イノベーションになりません。イノベーションは供給よりも需要に深く関わっています。世の中に受け入れられ、 社会にインパクトを与え、人々の生活が変わる。ここにイノベーションの究極の目的があります。それまで誰も思いつかなかったけれども、言われてみれば多くの人が「なぜ今までこういうものがなかったんだろう……」 とむしろ不思議に思う。優れたイノベーションほどそうした面があります。

「言われてみれば当たり前」であるにもかかわらず、なぜ「思いつかない」のか。それはどの業界にも「思い込み」があるからです。「見て見ぬふり」といってもよい。どの業界にも、あらためてじっくり考えてみれば、明らかに矛盾にみちた「ヘンなこと」があるものです。どう考えてもヘンなのに、「この業界というのはそういうもの だから……」という思い込みで、ヘンなことが手つかずのまま放置されている。思い込みにとらわれた業界内部の人々が(ほとんど無意識のうちに)見て見ぬふりをしている根本的な矛盾を直視する。そうした矛盾を 正面から突く。そこからイノベーションが生まれます。

投資の世界ではどうでしょうか。考えてみれば、これほどあからさまな(ただし業界内部の人々は見て見ぬふりをしている)矛盾に満ちた業界も珍しいと 思います。口では「企業価値」といいながら、短期的なキャピタル・ゲインの追求に明け暮れる。「モノ言う株主」といいながら、実際に言うことは、即効性はあるかもしれないけれども、長期的には本当の意味での 企業価値にネガティブなインパクトを与えるような目先のコスト削減やリストラ策ばかり。

考えてみれば、これまでの投資ファンドは、寓話の「北風と太陽」に出てくる北風でした。「買うのは会社。株ではない」。「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェットの名言です。この言葉に反対する人はほとんどいないでしょう。自分の思考と判断に基づいて、「優れていると思う会社」に投資する。

そうだとしたら、大切なおカネを投資する以上、長期的で高い目線で、その会社とともに汗をかき、ともに働き、その会社の本当の価値をともに高めようとする、こちらの方が投資家としてむしろ自然な姿の はずです。虚心坦懐に考えれば、投資ファンドの本来の役回りは北風よりも太陽にあるはずです。ところが、投資の世界には「不労所得」という思い込みがありました。平たく言えば「(リスクはとるけれど)楽して (できるだけドカンと)儲ける」というマインドセットです。これが北風的な投資ファンドが支配的となる状況をつくってきました。

北風ばかりが吹きすさぶ投資の世界に、ひょっこりと顔を出した太陽。 それがみさき投資株式会社です。いまのところはまだ小さな太陽ですが、その陽の光はいくつかのきれいな花を咲かせつつあります。投資ファンドの世界にあまり関わりがなかった僕にしてみれば、 みさき投資がやっていることは、「なぜ今までなかったんだろう……」と不思議に思うような、「当たり前」のことばかりです。

『働く株主®』、それは投資の世界における言葉の正確な意味でのイノベーション です。投資後進国といわれてきた日本。その日本発のイノベーションであることにとりわけ意義があります。僕はみさき投資の戦略ストーリーに大きな関心を持ち、心から応援しています。

小林 慶一郎 氏
慶應義塾大学経済学部教授、
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

私が社会人としてはたらき始めた1991年春、日本経済の成長はどこまでも平穏に続き、このままのシステムで何も問題は起きない、 というのが時代の空気でした。当時、私が就職した通商産業省(現在の経済産業省)で議論されていた、春の新政策の一丁目一番地は「余暇政策」。つまり、産業界や金融界には何の問題もなく、ほうっておいても うまくいくので、政府の政策課題としては「はたらきすぎの日本人をいかにして休ませるか(遊ばせるか)」が重要だ、と余暇を増やしてもらうための政策や余暇の活用法を真剣に議論していたのです。

それから、二十余年。日本型のシステムが、そのままでは立ち行かない、ということは経験によって十分に立証されたと思いますが、企業経営のあり方や、投資家と企業との関係は、あまりにも変化が 遅いように思います。メガバンクが舞台のテレビドラマが最近流行っていますが、1980年代、1990年代の「匂い」がするドラマ展開に、やはり、この国の空気は変わらないのだなあ、と妙な感慨を感じたりします。

バブル崩壊後、銀行が企業経営を規律づけたり、アドバイスを与えたりするという、ドラマの中のようなメインバンク・システムは、たしかに機能しにくくなっている。カネ余りが定着し、企業が借金を減らし 続けている状況では、銀行が企業経営を律することは難しい。銀行中心のコーポレート・ガバナンス(すなわちバンク・ガバナンス)という日本型の経済モデルは限界にきていると言ってよいでしょう。

そういう中で、時代は、エクイティによるコーポレート・ガバナンス(すなわちエクイティ・ガバナンス)というモデルの確立を求めているのだと思います。銀行に代わって、株主が企業経営を変えていく 働きかけを真剣にしなければ、日本企業が健全に成長することはできません。みさき投資は、投資先の経営者とともに、経営を良くするために投資家も働くという「働く株主®」というコンセプトを提唱して いますが、それこそが、次の時代の経済システムのカギとなるビジネスモデルになるのではないか、と期待しています。

みさき投資が、エクイティ・ガバナンスのパイオニアとして、日本の新たな未来を拓く投資事業を展開されることを祈念しております。